Port Extension再訪(1)

miniVNA用のフリーソフト”vna/J”にはPort Extensionの機能があります。miniVNAに接続したケーブルを介して反対側の被測定物のインピーダンスを測定した際に、ケーブル長による位相回転を補正して、正しいインピーダンスを表示してくれるというものです。

が、これはvna/Jにもともとあった機能ではなく、vna/Jのメニューバー右端「ヘルプ」にある“Read me”をご覧いただければわかるのですが、2015年初にリリースされたバージョン3.1.0から実装されています。実装を頼んだのは、他ならぬ私です。vna/Jの開発者のDietmar Krauseがその前年末のクリスマス休暇に作ってくれたのではないかと思っています。ということで、このvna/JのPort Extensionには愛着があります。

vna/JユーザーズガイドのPort Extensionの項にも書いてありますが、反射特性(S11)の測定にあたってVNAにケーブルを接続し、その先に被測定物を置いた場合、いったんケーブルも含めてキャリブレーションを行い、その後に改めて測定を行うのが基本です。室内での測定であれば、それでいいのですが、屋外に設置したアンテナのインピーダンス測定の場合、ちょっと面倒です。

友人のアマチュア無線家、彼もminiVNAを持っていますが、高い鉄塔の上にアンテナを設置しており、「じゃあ、アンテナを測定する際、つど鉄塔の上に登ってキャリブレーションをとるのか?」ということになりました。短波帯の大きなアンテナですから地上に降ろすのは困難で大変な作業ですし、そもそも大地の影響が強くでるので測定・調整しても意味がありません。

最初、Dietmarに依頼をかけた時、原則論を言われました。なんで、お前は都度キャリブレーションを取らないのかと怒られましたが、上記を説明したら納得して作ってくれました(まあ、ドイツ人ですね)。ユーザーズガイドに「しかし、場合によっては(例:タワートップのアンテナ)、測定する箇所に手が届かない場合もあります。このような場合は・・・」とあるのは(私が加筆したのではなく、原版の英語版にも記述があります)、そのような経緯があったからです。

miniVNAはもともとアマチュア向けの測定器ですが、企業や研究機関の方からもご注文をいただきます。技術的なご質問で多いのは、ダイナミックレンジ、スミスチャート、そしてPort Extensionです。お返事すると、「じゃあ、実用上、問題ないね」ということで成約になります。依頼してよかったと思っています。

次回、その機能を簡単にご説明します(続く)。

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