GNU Radio with Red Pitaya

”Red Pitaya"(正式な製品名は"STEMLab 125-14)
”Red Pitaya”(正式な製品名は”STEM Lab 125-14)

写真の製品は当ショップ取り扱いではありませんが、Red Pitayaです(アクリルケースは別売りのオプションです。また、冷却用ファンは自分で取り付けたものです)。

SDRモジュールではありますが、搭載しているXilinx Zynq 7010 FPGAは2個のARM Cortex A9を内蔵しており、それ自体、コンピュータです。Webサーバ機能もあり、ネット経由でRed Pitayaにアクセスして実行する機能を選択します。製品にいくつかのバリエーションがあり、実行できる「機能」についてはバリエーションごとに違います。私が買ったのはアマチュア無線家向けの”SDR Kit”です。が無線用のSDRモジュールとして以外にオシロスコープやSG、ロジックアナライザ等としても使用できます(機能によってはオプションが必要)。メーカーが”エンジニアにとってのスイスアーミーナイフ”と称している所以でもあります。サンプリング周波数125MHz、ビット長14bitで、価格は約4万円です。日本ではマウサーから購入できます。この価格が”エンジニアにとってのスイスアーミーナイフ”相当なのか意見が分かれるでしょうが、1台持っておいてもいいかもしれません。他にアカデミック用として性能を落としたものもあります。

Red Pitaya用Power SDRで2波同時受信中
Red Pitaya用Power SDRで2波同時受信中

製品自体は以前から知っていましたが、GNU Radioにも対応することを知り、9月に買ってしまいました。しばらくはPowerSDRで受信動作をさせてみたり、SCPIインタフェースを試していましたが、ようやくGNU Radio対応にもトライしました。

Red Pitayaについては、日本ではまだユーザが少ないようで日本語で書かれたものはあまり見かけません。GNU Radioにいたっては誰も試していないのか、まったく見かけません。

Red Pitaya用GNU Radioフロー(AMトランシーバー)
Red Pitaya用GNU Radioフロー(AMトランシーバー)

 

ただ、取り組んでみると、実際は簡単で主導者(?)のPavel Deminのホームページの記載のとおりの手順で実現できてしまいました。

右はサンプルとして提供されているAMトランシーバーのフローで、SourceやSinkとしてのRed Pitayaが表示されています。ネット経由での接続なのでIPアドレスを指定します。まずは受信動作について確認できました。

すでに手持ちのHackRF Oneと合わせ、GNU Radioに対応した送受信可能なSDRデバイスが2台揃ったことになり、対向させていろいろなことが試せるようになりました。

上記フローを動作させた場合の受信画面
上記フローを動作させた場合の受信画面

ちなみにネット等でも”Red Pitaya”と称されていますが、Red Pitayaはメーカーの社名で、製品名は”STEMLab”です。“STEM”はSTEM教育のSTEMと同源のようでScience, Technology, Engineering and Mathematicsからきています。

2019/3/3 追記
どうやら16Bit版が発売になるようです。
https://www.redpitaya.com/Catalog/p52/stemlab-12288-16-sdr-kit-basic?cat=c99

“Three times bigger dual core ARM Cortex A9 + Xilinx Zynq 7020 FPGA”ということですが、確かに現状のSTEMLab125-14のWeb機能はレスポンスがいまいちの感があるので、エンジニアのアーミーナイフとして使いたい向きには、こちらの方がいいかもしれません。なお、16Bitというのはinputだけで、outputの方は14Bitのままです。

7 comments

  • おはようございます。布施と申します。
    先日、HAMliBなる物を 入手してしまい。対応に追われています。
    既にトランシーバーとして纏められている機器ですが 使いこなすのは
    まだまだ 先になりそうです。ご指導たまわれることを期待して ご挨拶させていただきました。 無駄使いにならない用に 勉強中です。

    ps. GNURADIO 嘗て Ubuntu版をインストールした事が有りますが それだけで終わっています。

  • こんにちは。コメントありがとうございます。

    HAMlibなるものは初めて知りました。こういうものがあるのですね。残念ながら、アマチュア無線の方は以前ほど力が入っておりません。昨秋、IC-7610を購入したのですが、コンディションもいまいちのようでほとんど使っていません。

    私の方もまだまだ勉強中の身です。引き続き、本ブログをご愛読のほど、お願いいたします。

  • ノイテック店主様

    以前からこちらのブログを興味深く拝見しております。

    実は私も16bit版Redpitayaを動かしてみて、その性能の高さに驚いているところです。今回は、もしご存知でしたらアドバイスいただけると助かるということで、コメントさせていただきました。

    Redpitayaは、14bit版もリグに仕上げたのですが、GNURadio でも使ってみたくなり、Pavel-deminさんの指示に従い、なんとか起動にはこぎつけたのですが、socket-errorとかで、すぐに停止してしまいます。

    X-ubuntsuでLAN内のipを調べてみると、同じLAN内のWin-10からは192.168.1.X とかでredpitaya-14bitが見えるのですが,
    Ubuntuからは見えません。なので、Ubuntu上のGNURadioからRedpitayaにアクセスできないのかと思っています。こんな現象に出くわしませんでしたか?

    もしなにかの手がかりをご存知でしたら、お教えいただけると幸いです。

    • daisuki jisakuさん、コメントありがとうございます。

      私が経験した限りでいえば、Red PitayaのWebサーバー機能から”SDR Transceiver”を起動されていますでしょうか?
      これを行っていない、つまりRed PitayaのPower ONとPavel Demin版GNU Radioだけでは”Socket Error”になります。OSベースでは疎通を確認できるようなので、おそらくこれだと思います。私は環境構築に際して特別な事は行っていません。
      ちなみにずっとこの状態を保つ必要があるようです。途中でWebアクセスをクローズすると動作しなくなります。
      「えっー」って感じですが、おそらくRed Pitayaのアーキテクチャ上の制限なんでしょうね。

      もし、”SDR Transceiver”を動作せているということであれば、私にもわかりません。もう、Red Pitayaに聞くしかないですね。

      >実は私も16bit版Redpitayaを動かしてみて、その性能の高さに驚いているところです。
      16Bit版入手されましたか。Red Pitaya、性能いいですね。アマチュア局としての私の設備は大したことないので受信性能はわかりませんが、送信信号のピュアリティは高いと思います。

      最近、スペアナを注文して到着待ちです。今はオシロのFFTでごまかしていますが(笑)、到着したら、もっと高い分解能で見れますので。

      ご興味持って読んでいただいている方がいらっしゃるのが、うれしいです。
      日本のアマチュア局の多くが、SDR=受信バンドスコープとしか捉えていないのが悲しいですね。

      P.S.
      後続のSSB信号生成記事でRed Pitayaの周波数がずれているようだと書いていますが、その後、AMで試すとそのようなことはありませんでした。GNU Radio内のスペクトルに間違いはないので、あるいはRed Pitaya Sinkに私の知らないパラメーターがあるのか??、時間を見つけて調べる予定です。

      • 店主様

        早速のご返事ありがとうございます。

        >Red PitayaのWebサーバー機能から”SDR Transceiver”を起動されていますでしょうか?

        ですが、まずは、rp-“MAC asddress”.local/と叩いて、redpitaya-14のサーバーを起動して、その中の3番目の
        3.SDR transceiver compatible with HPSDR
        をクリックして
        SDR transceiver compatible with HPSDR
        のページを開くことでしょうか?これをやるとredpitaya-14の黄色LEDの点滅が止まって、FPGAへの書き込みが終了すると聞きます。このあと、pavel-deminさんのインストラクションで
        cd red-pitaya-notes/projects/sdr_transceiver/gnuradio
        export GRC_BLOCKS_PATH=.
        gnuradio-companion trx_am.grc
        をターミナルモードで叩くとAM-TRXのGNUradioは起動できるのですが、実行してもsocket-errorの状態は変わらずです。何がおかしいのでしょうかねぇ?

        redpitaya-16bitは、感度がいいのが素晴らしいです。HPに記載したので、もしよろしければ、ご覧ください。
        http://jr1pwz.my.coocan.jp/ham/Recent_SDR/16bit-Redpitaya-1.html#rp-16_performance-20190705
        で、いろいろな特性を測っています。pure signal も動いていますが、これは14bit版とあまり変わらないような気がします。

        今後ともよろしくお願い申し上げます。

        • そういうコマンドラインからやる方法もあるのですね。私はブラウザ経由です。ただ、私が動作させているのは”SDR transceiver compatible with HPSDR”ではなく、”SDR Transceiver”です。

          • 店主様

            ありがとうございます。
            SDR tranceiver
            をクリックして、IPaddressをW-10で見えていた場所に設定したら動き出しました。いろいろいじってみたいと思います。

            大変お世話になりました。これからもよろしくお願い申し上げます。

Comments are closed.

ˆ Back To Top