ELAD FDM-S3

FDM-S3

ようやく、市場に出回るようになってきました。店主が試作品を見たのは2017年夏のドイツ、フリードリヒスハーフェンでのイベントですから、それから4年近く経っています。製品化された実際の姿は試作品とは大きく違っています。

先日、1台だけ仕入れることができました。主な機能・定格は

■受信周波数範囲:9KHzから108MHz
ただし、マニュアルには500MHzまで受信可能とあり、当店で試したところ確かに受信可能でした。しかし、アンチエイリアスフィルタを装備しているわけでないので、エイリアス(特にFM放送)を受信してしまいます。VHFハイバンド以上で本格的な受信をご希望であれば、バンドパスフィルタをご用意ください。まだ未発売ですが、オプションとしてのV/UHF帯用のダウンコンバータも計画されています。

■サンプリング周波数:122.88MHz
ここはFDM-S2と同じですが、サンプリング周波数の半分の折り返し周波数での受信を可能にするために、この近辺ではサンプリング周波数を変え、結果としてギャップレス受信を可能にしています。

■受信帯域幅
FDM-S2やFDM-DUOrと大きく違うのは、受信帯域幅です。データ処理レートは最大24,576KHzと4倍に拡大され、実際の受信可能周波数帯域幅は最大19.66MHzです。これにより、HF帯の過半、および補完放送も含めたFM放送帯の全域の記録受信が可能となります。なお、広い帯域幅の記録受信には相応のスペックのPCが必要で、メーカーは第8世代以降のCore i7/i5と16GB以上のメモリを推奨しています。まだ、書き込み速度250MB/s以上のディスクを推奨しています。

受信帯域は最大19.66MHz スペクトル表示左下の”Span 19.66MHz”に注目

■バンドパスフィルタ
FDM-DUOrと同様、バンドパスフィルタ(別売)を装着できます。最大8枚装着可能です(標準実装のバイパスフィルタ含む)。DUOrはFM放送受信のためのひと工夫もあって装着ルールが若干複雑でしたが、S3はシンプルです。フィルタのON/OFFは自動(要初期設定)です。下の2枚の画像は30mバンド用のフィルタを例に、フィルタの効果がわかるようにしたものです。左が通過帯域内を受信している場合。右が通過帯域外を受信している場合です。通過帯域内受信時は、帯域外の信号がブロックされ、ノイズレベルが低くなっているのがわかります。

GPS信号により局発にロックがかかった状態

■GPSDO内蔵
本製品の局発はTXCOとOXCOタイプがありますが、他、GPSDOを内蔵しており、GPSアンテナ(別売)を接続するだけで動作します。中短波帯、FM放送帯の受信だけなら、ここまでの周波数精度は不要だと思いますが、上述のV/UHF帯用ダウンコンバータを利用してGHz帯の狭帯域デジタル通信の復調を考えてのことと思います。U-CenterなどのGPSソフトウェアを利用してGPSからの受信状態を確認することができます。他、GPS信号を利用できない場合のために10MHzの基準信号を入力することも可能です。



FDM-S3製品内部 右下がフィルタ装着部

最近はAirspyやSDR Playのようなコストパフォーマンスの高いSDRレシーバーに押されていた感のあるELADですが、本製品は所有する喜びを感じさせてくれる高級感ある仕上がりになっていると感じました。

仕入れた1台は、基本的な動作確認・バンドパスフィルタの装着作業を経て、一週間ほどで店主の手元を離れ、お買上げいただいたお客様のもとへと旅立っていきました。

まだ、仕入れは少ない状態です。ご希望の方はご連絡ください。

FDM-S3
中央下が2017年当時のFDM-S3の試作機

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