Port Extension再訪(1)

miniVNA用のフリーソフト”vna/J”にはPort Extensionの機能があります。miniVNAに接続したケーブルを介して反対側の被測定物のインピーダンスを測定した際に、ケーブル長による位相回転を補正して、正しいインピーダンスを表示してくれるというものです。

が、これはvna/Jにもともとあった機能ではなく、vna/Jのメニューバー右端「ヘルプ」にある“Read me”をご覧いただければわかるのですが、2015年初にリリースされたバージョン3.1.0から実装されています。実装を頼んだのは、他ならぬ私です。vna/Jの開発者のDietmar Krauseがその前年末のクリスマス休暇に作ってくれたのではないかと思っています。ということで、このvna/JのPort Extensionには愛着があります。 (さらに…)







airspy HF+

春にアナウンスされて以降、なかなか発売されません。

メーカーサイトにある”description”を読むに、ΣΔ変調器(日本では、「ΔΣ変調器」と称することが多い)を用いていることから、スーパーオーディオCD(SACD)と同じような仕組みを採用して、IFを1bitDSDで処理しているのではないかと思います。その後、デジメーションを行ない、18Bitの解像度を持つI/Q信号を生成しているようです。
HF帯の受信周波数が31MHzどまりと、アマチュア無線用の50M帯がふくまれていないのはDSDを生成するためのサンプリング周波数の限界によるものと思われます。

airspy HF+の帯域幅は660KHzとも言われています。SACDでは、規格上、周波数帯域は50KHzとも100KHzとも言われていますが、その後のデジタル技術の進歩により、より広い帯域幅が確保できるようになったのだろうと思います。

18Bitと書きましたが、実際に18Bit相当なのかどうかはわかりません。また、最後は16bitにスケーリングし、コントローラに送り込むとあります。ただ、ダイレクトサンプリング方式のSDR受信機のBit長が、現状の製品で16Bitどまりなので、それを超える性能を得ようとしているのは確かだと思います。リニアPCMで処理するより、1Bit DSDで処理する方が低コストなので、この方法を採用したのだろと推察します。

デジタル技術の進展による処理能力の向上を、FDM-S3は帯域幅を広げる方向、airspy HF+は帯域幅を犠牲にしてダイナミックレンジを広げる方向に使ったという風に理解しています。


Paloran200

Megaloop FXと同じく磁界動作型のループアンテナです。Megaloop FXと違うのはアンプを持たないパッシブ型のアンテナであるということです。このため、FXに比べ大きなループを必要としますが、電源が不要、そして何よりアンプ内で発生するノイズや歪を一切、気にする必要がないということです。近日、販売を開始いたします。

Paloran 200
Paloran 200

定格
■周波数範囲 : 9KHzから200MHz(実際には、もっと高い周波数まで動作します)
■コネクタ : BNCメス
■付属品 : アンテナ線(約15m長)、インシュレーター2個、マスト取付用ブラケット

販売価格:27800円(税込・予価)

Paloran 200 設置例
Paloran 200 設置例

FDM-S3

FDM-S3
FDM-S3

先日、ドイツのフリードリヒスハーフェンで開催されたHamradio2017で展示されていました。メーカーのELADのブースは当ショップが代理店を務めるWiMoのブースのサブブースとして設けられており、現行製品と並んでFDM-S3他、新製品も展示されていました。

FDM-S3について社長のFranco Milanに聞いてきました。

・発売は9月末を予定。
・FDM-S2の後継機ではなく、別の位置づけ。S2は並売とのこと。
写真をご覧になるとわかりますが、大きいです。左下に写っているSPF-08がFDM-S2と同じサイズだと思いますが、二回りぐらい大きいです。業務用途も視野にいれているとのことでした。
・インタフェースはUSB3。これによると思いますが、巷間言われている通り、帯域幅は24MHzに拡張されます。
・サンプリング周波数、ビット長はS2と同じ。
・FDM-DUOrと同様、プリセレクタボード内蔵可。背面にはSMAコネクタが3個。2個がHF用、1個がVHF用。写真は撮ってませんが、完成しておらず、背面には無塗装のアルミ板が貼ってありました。
HF帯のアンテナ→プリセレクタボード構成はDUOrと同じ仕組みになるのだろうと思います。
・価格もFDM-S2より高くなるようです。
単体でも使いたいならDUOr、PC接続のみの広帯域ならS3という考えかもしれません。
・アンテナチューナー内蔵可。

ご興味ある方はお問い合わせください。

2021/3/18
ようやく流通するようになりました。こちらの記事もご覧ください。


FDM-DUOr vs FDM-S2

最近、ELAD社のFDM-DUOrのご注文が増えています。これまでFDM-DUOrは手元在庫を持たず、ご注文のつど、仕入元から取り寄せの形態だったのですが、常時在庫品に移行しようと考えています。

ご承知のとおり、FDM-DUOrの最大の特長は”スタンドアロンでも使用できるSDRレシーバー”ということなのですが、本製品の機能を詳細に調べているうちに、同社のFDM-S2に対するFDM-DUOrのメリットは何だろうと考えるようになりました。何しろ、10万円を超える高額品です。

FDM-DUOrの受信回路はFDM-S2がベースなので受信性能は基本的に差がないと考えられます。他、FDM-DUOrはプリセレクタボードを最大10枚収容できます。FDM-S2にSPF-08を組み合わせると8枚まで収容できます。枚数の微妙な差はともかく、それでもFDM-DUOrはFDM-S2 + SPF-08より価格が2万数千円高くなります(当店販売価格)。

一方、FDM-DUOrはアンテナ端子が2系統あり、プリセレクタボードの設定を適切に行えば、受信周波数によってアンテナを切り替ることができます。SPF-08は1系統のままです。

よって受信周波数によってアンテナを自動で切り替えたいという向きにはFDM-DUOrはいい選択ではないかと思っています。

例:
1.中波受信と短波受信でアンテナを分ける。
2.アマチュア局でいえば、アマチュアバンドは自局のアンテナ、それ以外の一般受信はMegaloopやBoniwhipのような広帯域の受信用アクティブアンテナ。近々に発売されるSwissUnitを使えば、これも自動で可。

FDM-S2 (+ SPF-08)でこれをやろうとすると結局、実用上、手でアンテナを切り替えるしかありません。(CATを使って受信周波数を読みだしてアンテナを切り替える機能を自作するとか、microHAMのアンテナスイッチであるStationMasterを使うという贅沢な手もあるかもしれません)

FDM-DUOrは現状、FM放送やエアバンドの受信ができないのですが、中短波の受信を追求される方には問題ではないでしょう。
他、FDM-DUOrは一体型であるが、DC12V電源が必要とか、多少のメリット・デメリットがあります。

結局、ユーザから見て”スタンドアロン受信+2系統のアンテナ自動切替”が価格差に見合うかどうかということではないかと思います。


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